肉離れの筋膜スリック療法

先日、バレーボールをしている女性の肉離れを診ることがありました。

急に後ろに体重移動したところフクラハギ(腓腹筋部)に痛みが来たとのことでした。

成人のスポーツ愛好家にはよくあることで、青年期には大腿部、成人になると腓腹筋部に肉離れが起き易くなります。

待合室からベッドまでは片足でトントンと入って来てかなり痛みがあるようです。

軽く手て触れてみると強い痛みがありました。

非接触性温度計で図ると熱はもっていないようです。

初日は患部を中心に鍼を軽く行い、その後に患部の浮腫みを取ることを目的に筋膜スリックを行いました。

翌日、来院されるとかなり痛みが和らぎ、触れても痛みはなくなっていました。

足を着いての歩行もできます。

3日目には普通に歩行できるまで回復しました。

その後も治療を続け、2週間後には速足でウォーキングが出来るまでに回復です。

あらためて鍼と筋膜スリック療法の威力にビックリしました。

特に筋膜スリック療法で表面の筋膜へのアプローチが効果的だった印象です。

ファシアの動きと浮腫を改善することで固有受容器の痛みの感受性が下がってきます。

また筋組織の修復も良くなります。

新型コロナウィルス感染後の倦怠感

 新型コロナウィルス感染後、回復したあとも倦怠感が続くTさんが鍼灸施術で症状が消えた症例を報告します。

 

  • 事例

Tさん:36歳 女性 主婦

主訴:倦怠感・食欲不振・不眠ぎみ

 1月下旬に新型コロナウィルスに感染し発熱と喉の痛み・咳・倦怠感の症状があった。熱は38度5分が3日間続いた。その後、1週間ほどで大概の症状はなくなったが、倦怠感・食欲不振が残って続いている。また夜もあまり眠られなくなった。内科からは精神安定剤が処方されている。

 

  • 治療方針と経過

 身体を診ると全身的に筋緊張が見られ、特に頭部には精神的ストレスの反応が見られた。

全身の筋緊張緩和・自律神経調整を目的とした鍼灸施術を行うこととした。 

 

 初回の施術ではあまり変化は見られませんでした。2回目の施術翌日は倦怠感が少しなくなりました。食欲も少し出てきました。5回目の施術で倦怠感はなくなり、夜も眠られるようになり、精神安定剤の服用もしなくてよくなりました。

 

  • 考察

初診時の身体にみられた筋緊張は施術毎に改善していきました。それと同時に愁訴の倦怠感・食欲不振・睡眠障害も回復して行きました。

今回は、身体の緊張感を緩め、自律神経系へ働きかけるように鍼施術を行いました。その結果、Tさんの症状が回復して行ったと考えます。

 

新型コロナウィルス感染後、このような後遺症に悩んでいる方は多いと聞きます。

新型コロナウィルス感染で症状が出た場合、重症であれ軽症であっても、抑うつ症状を呈すると言う論文報告があります。

 

 

新型コロナの約10人に1人が、後遺症として「倦怠感」や「ブレインフォグ」(脳に霧がかかったような状態)を発症します。

中枢神経系における主な原因として

  • 免疫システムにダメージが加わった結果、中枢神経を構成するのに不可欠な「グリア細胞」に障害が起こった
  • 血液脳関門の機能低下や血管透過性の亢進

などが挙げられています。

また、感染に対する精神的ストレスが強く出やすいことも特徴です。

アメリカの研究では後遺症として約2割の方に不安やうつ症状が残っているとするデータもあります(参照)。

医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルや英医学誌ランセットには、新型コロナウィルスの後遺症として倦怠感やブレインフォッグ(脳の霧)の発症について報告されています(日本経済新聞参照)。



感染拡大!

先日の投稿から、更にオミクロン株の感染が拡大して、石川県でも500人越えとなった。

特に金沢市周辺が酷い。

今回は、子供への感染が多いようで、こども園・小学校等では対応が大変だろうと思う。

それにともない、保護者も苦慮していることだろう。

しかし重症者はいないのである。

全国的にも感染者数に対する重症者数の割合は小さい。

ウィルスもだんだんと弱毒化してるようだ。

まだまだ熱が出たり、のどが痛かったりの症状はあるだろうが、普通の風邪に近づいている。

また、潜伏期間も2〜3日ほどと縮まっている。

濃厚接触者の隔離期間も7日間となりそうだ。

これまで通り、ウガイ・手洗い・換気を心掛け、三密をさけるようにして、感染を防がねばならない。

新型コロナ感染拡大(第六波)、今後どうなる?

ここにきて石川県も新型コロナの感染が拡大しています。

昨日は110人越えとなっています。

全国の感染者数も3万人越えです。

十八府県で過去最多を更新しています。

今後、世の中がどうなって行くのか不安になるところです。

重症者数・死亡者数を見ると以前ほどには多くなく、現在の変異株(オミクロン株)は弱毒化しているのではないでしょうか?

既に昨年に第六波が来ているフランス・ドイツなどのヨーロッパの国々では隔離期間が短くなっています。

フランスの対応は下記の通りです。

 

デルタ株、オミクロン株に関わらず陽性者と接触者の隔離期間が次のように変更されました。
<ワクチン接種済+陽性>
陽性判定から7日間隔離
ただし5日目以降PCRまたは抗原検査で陰性判定の場合は隔離解除できる

<ワクチン未接種+陽性>
陽性判定から10日間隔離
ただし7日目以降PCRまたは抗原検査で陰性判定の場合は隔離解除できる

<ワクチン接種済+濃厚接触>
直ちに検査、陰性の場合は隔離の必要なし

ドイツにおいてもほぼ同じような対応となっています。
特にエッセンシャルワーカー(医療関係者・介護従事者・教師・保育士)等のマンパワーが不足してくると社会が回らなくなりますから、国内においても同様になってくると思います。
そのためにはもっと検査できる体制が欲しいです。

椎間板ヘルニアの治療統計(令和3年分)その2

 「椎間板ヘルニアの治療統計その1」の続きです。

 治癒された患者様が、治癒までにどれぐらいかかったと言うデータです。 治癒の判断は、日常生活に支障なく、仕事にも復帰された状態で判断しました。軽い肩凝り感や弱い痺れ感が残っているケースもあります。

 

 2週間未満の患者様は4名(14%)、3週間未満が8名(28%)、4週間未満が7名(24%)、5週間以上が10名(34%)となっています。なお、この数字は、来院から治癒に至るまでの期間の統計ですので、発病から治癒までの期間は検討されておりませんのでご理解ください。

 いずれにしても、昨年の頸椎・腰椎椎間板ヘルニアと思われる患者様を治療し、上記のような結果を得ることができました。今後は、発病からの治癒までの期間、鍼灸治療の頻度と治癒率、治癒までの日数、鍼灸を行うまでの治療の種類、投薬との併用など検討していく必要があります。

椎間板ヘルニアの治療統計(令和3年分)その1

 昨年(令和3年)の頸椎・腰椎椎間板ヘルニアの統計です。

 昨年度は44名の頸椎・腰椎椎間板ヘルニアの患者様が来院されました。そのうち治癒されたのは、29名、症状が改善されたのは7名、脱落されたのは8名です(症状に変化がなく中断された方も含めます)。

 

 

 次に発病から来院までの期間です。

 発病より10日以内の来院が7名、1ヶ月以内の来院が15名、3ヶ月以内の来院が8名、6ヶ月以内の来院が6名、1年以内の来院が3名、1年以上過ぎてからの来院は5名でした。

 発病から来院されるまでは、みなさん医療機関で投薬・TP注射、マッサージなどの治療を受けています。

電激痛の腰椎椎間板ヘルニアの症例

10月はじめより施術を開始した腰椎椎間板ヘルニアの患者さんの事で。

8月はじめより左側腰部から大腿部・下腿外側部が痛く、足の甲部にも痺れがあります。

何より下肢の痛みが大変強く、痛い方の足に体重がかかると電撃痛が走り、普通に歩くことがままならない状態でした。

歩く時には膝に手をついてユックリユックリと足を引きずりながら歩いていました。

整形外科には8月より通院しMRI撮影にて腰椎椎間板ヘルニアを指摘されました。

その後、1週間に1度ブロック注射を行い、神経の炎症を抑えるタリージェも最高量を服用していましたが、全く効果が見られない状態が続いていました。

10月はじめに当院に来院されましたが、ベッドまでやっと辿り着く状態でした。

患者さんには神経の炎症が痛みの原因であること、鍼灸施術を行うことによりヘルニア周辺の血流が良くなり神経の炎症が無くなること、また場合によっては飛び出したヘルニアが吸収されることを説明しました。

その後、10月24日までできる限り毎日施術(日曜日を除く)を行い、症状が少し和らいできた後は隔日、その後、週に2回と徐々に施術間隔を空けていきました。

10月20日過ぎまでは全くと言って症状に変化はありませんでした。

しかし、その後は徐々に歩行時の電撃的な痛みが無くなり、痛みは弱くなって行きました。

現在(11月19日時点)は、全く痛みがないわけではありませんが、散歩できる状況まで改善しています。

まったく痛みが無くなるにはもう少しかかるとは思いますが、患者さんもビックリするぐらい痛みは弱くなっています。

今回は久しぶりに強烈な痛みの患者さんでしたので、ご紹介いたしました。

飛び出したヘルニアは引っ込むのか?

よく患者様から訊かれることですが

飛び出したヘルニア(椎間板)は引っ込むのかと言うことです。

結果から言いますと、引っ込むことが多いです。

それも大きく飛び出しほど引っ込みやすくなります。

下に腰椎椎間板ヘルニアのガイドラインのリンクを貼っておきましたが

そのなかでも時間経過とともに引っ込むと書かれています。

腰椎椎間板ヘルニアガイドライン

またJSTAGEと言って、論文が検索閲覧できるサイトがあるのですが、ここでも椎間板ヘルニア・脊椎疾患に関する論文を見ていくと大きく飛び出したヘルニアは消えて行くと書いてあります。

飛び出した椎間板はマクロファージをはじめとしたリンパ球により吸収されて行きます。

よほど痛みが強い、麻痺症状が出る、排尿障害(オシッコが我慢できなくなるなど)が無ければ保存療法で対応できます。

鍼灸施術では血流が良くなり、このマクロファージの働きを促進することを目的に行っています。

また消炎作用により炎症が起きた神経の興奮を鎮めて行きます。

妊娠にかかわるホルモンについて

現在、何人かの方が不妊症で来院されてますので、今回は妊活についてのお話です。

 

女性の排卵から妊娠にいたるまでに関与するホルモンにはいくつかあります。

ホルモンの働きは少し分かりづらいのですが理解しておくと、婦人科や不妊専門医療機関へ行かれた時に役に立ちます。

 

妊娠までの過程で関与するホルモンは、卵胞刺激ホルモン黄体形成ホルモン卵胞ホルモン黄体ホルモンがあります。

 

そのうち、卵胞刺激ホルモン黄体形成ホルモンは、どちらも脳にある下垂体から出て生殖機能を促進します。

ホルモンimg_05_R.jpg

 

卵胞刺激ホルモン(FSH)は、卵巣を刺激して未熟だった卵子の成熟を促します。そして成熟した卵子は受精に備えるわけです。また卵胞からの卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌も促します。

黄体形成ホルモン(LH)は卵巣にはたらきかけて成熟した卵子の排出を誘発し、排卵が起こった後の卵胞(卵子が成熟する袋)を黄体してプロゲステロン(女性ホルモンの一種)の分泌を促す作用を持ちます。

 

次に、卵胞ホルモン(エストロゲン)黄体ホルモン(プロゲステロン)です。

卵胞ホルモン(エストロゲン)は卵胞から分泌され、卵子の成熟が高まるのと合わせて子宮内膜を厚くし妊娠に備えます。

黄体ホルモン(プロゲステロン)は黄体から分泌され、卵胞ホルモン(エストロゲン)の働きによって厚くなった子宮内膜を柔らかく維持して、妊娠しやすい状態にします。着床しなければ子宮内膜が剥がれ月経となって体外へと排出されます。

 

以上のように4つのホルモンの働きで妊娠へと導かれるのです。

下に分かりやすいように月経周期でのホルモンの働きについてまとめました。

 

月経周期
各期間でのホルモンの働き
卵胞期 脳下垂体からのFSHが出て卵巣内で卵胞が育ち、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が増加。子宮内膜が厚くなっていく。
排卵期 卵胞が十分に育つとエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が最大に。脳下垂体からのLHにより排卵の指令がきて卵胞から卵子が放出される。
黄体期
排卵を終えた卵胞が黄体に変化し、プロゲステロンを分泌し、厚くなった子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態に。また、基礎体温が上昇する。
月 経
受精卵が着床しなかった場合(妊娠が不成立)、
厚くなった子宮内膜がはがれ落ち、月経として体外に排出される。

 

 

 

ホルモン量は多くても少なくても良くありません。これらのホルモンはフィードバックと言って、濃度が高くなると分泌を命令していたホルモンの排出が抑えられるようになります。例えば、卵胞ホルモンの量がある一定量以上多くなると卵胞刺激ホルモンの量が抑えられると言うように。

このようにして各期間のホルモン量を加減しています。

この中で大事なのは、脳下垂体から放出される卵胞刺激ホルモン黄体形成ホルモンです。もともとが脳からの命令により起こっている周期(サイクル)ですから、精神的ストレス、環境からのストレスにより正常に働かなくことは屡々みられます。

産後の手の痛み

産後はこれまでの生活とは大きく環境が変わるため、いろいろな身体の不調を感じやすくなります。

原因としては、

 

  • 出産は母体にかかる肉体的・精神的負担が大きい
  • 新生児への授乳により体内のカルシウムが減る
  • ホルモンの変化(エストロゲンの減少)により体が浮腫みやすくなる
  • 新生児を抱くことにより手・肩・腰に負担がかかりやすい
  • 出産時には産道を広げるために骨盤が緩み、産後も緩んだ状態が続いて不安定となり腰臀部に痛みを感ずることもある

 

これだけでなく、これまでの主婦の仕事プラス育児となるので、精神的にも肉体的にも負担が大きくなります。

さらに、旦那さんが育児・家事に協力的かどうか、子供の健康面周囲の人間環境など、様々な問題がのしかかってきます。

出産は女性にとって大きな喜びではあるのですが、それとともに体調を崩しやすい時期でもあるのです。

 

産後images.jpg

 

今回は、そのなかで、当院によく来院される手の痛みについて考えてみましょう。

 

日本助産学会誌(2017 年 31 巻 1 号)に「産後女性の手や手首の痛みと関連要因」と言う論文が掲載されています。

この論文は、産後1年未満の女性876人に調査を行い、回答を得られた514名の結果をまとめたものです。

この論文では、

産後女性の3人に1人は手や手首の痛みを経験し,痛みの多くは産後1か月から2か月に出現している

年齢が高く,初産婦で,手や手首の痛みの既往がある産後の女性では,手や手首の痛みに注意する必要がある

と言っています。

産後に手や手首の痛みを感ずる女性はかなり多くいると言うことです。

しかし、育児に忙しく医療機関を受診することが出来ない、受診できたとしても授乳により服薬できない、等の理由でそのまま放置と言う例がしばしば見られます。

 

手首の痛みimages.jpg

 

育児中の手・手首の痛みは、手の使い過ぎとホルモン変化による浮腫みによって起こっています。

当院では、産後の手の痛みの改善に、鍼灸ファシアスリックテクニック(筋膜リリース)を行っています。

鍼灸施術により全身の血流促進・自律神経調整を行い、また患部への施術で筋・腱の炎症を鎮めます。

また、ファシアスリックテクニックにて筋・腱の凝り・浮腫みを解消していきます。

鍼灸・ファシアスリックテクニック(筋膜リリース)ともに副作用は殆どなく、妊娠・授乳期間でも安心して受けていただくことができます。

膝に水がたまる

中高年で膝が痛いと言う患者さんには、膝を診ると水がたまっていることがあります。

なぜ膝に水が溜まるのでしょうか?

まず、膝関節の基本構造ですが、骨と骨とが関節を作る際、接触する面は軟骨組織で覆われています(骨の先端ですね)。

 

 

そしてこの軟骨はコラーゲン組織(プロテオグリカンと言う物質)でできています。また多くのヒアルロン酸も含んでいます。ヒアルロン酸は水分を多く含む性質があります。

 

また関節は関節包と言う袋状のもので覆われて関節腔という空間を作っています。その関節腔はヒアルロン酸を主成分とした液体によって満たされていて、軟骨を保護し関節がスムーズに動くようにしています。ヒアルロン酸は関節軟骨と同じ成分のもので、関節軟骨から分泌されています。

 

関節包の内側は滑膜という組織で覆われています。滑膜は神経や血管が豊富に分布しています。

 

 

IMG-2.jpg

 

中高年の関節腔では長年のすり減りによる軟骨組織の粉(軟骨片)が漂い、それが滑膜組織に附着し、そこで免疫反応によって炎症が起こってきます。

 

滑膜は神経が豊富に分布していますので、炎症が起こると痛みを感じます。また炎症が起こると滑膜の血管壁が開き、液体成分が関節腔に染み出てきて、滑液包が膨れてきます。これが「膝に水がたまる」という現象です。

 

当院では、鍼灸施術により消炎を図り、また器具を用いた筋膜リリース施術により緊張した膝周囲の筋肉を緩めていきます。

膝に水がたまって困っている方は、是非ともご相談ください。

頚椎椎間板ヘルニアで背中と腕の痛みで悩む症例

今回は頸椎椎間板ヘルニアが原因で背中と腕が痛く寝られなかったのが 施術で症状が軽減したHさんの事例を報告します。

 

 

  • 事例

Hさん:50歳 男性 事務職

主訴:左側肩と背中、左上肢の強い痛み

 昨年秋ごろより左側首肩に寝違いのような痛みが続いていた。そんなに強い症状ではなかったのでそのまま様子を見ていたが、2月に入ったある日、起床すると強い寝違えの痛みに変わり、その二日後から背中から肘ぐらいにかけて強く痛くなり、痛みで眠られなくなった。日中も痛みが強く仕事に支障が出るようになってきた。整形外科で頚部のMRI撮影を行うと、首の2か所に椎間板の軽い飛び出しがあると言われた。手術するほどの突出ではないとの診断だった。暫くリリカを処方され様子を見ていたがあまり痛みに変化はなかった。

 

  • 施術と結果

頚部の低周波鍼通電と、肩背部・上肢の置鍼、 20回

施術開始はじめの頃は施術後痛みが少し和らぎましたが、すぐに戻りました。施術が10回を過ぎるころから症状の戻りも少なくなり、徐々に痛みが和らいできました。

特に痛みで眠られないことが困ったことでしたが、これも枕の高さを調整するようにアドバイスし工夫をしたところ幾分か眠られるようになって来ました。日中の仕事中も辛い痛みが続きましたが、徐々に回復し、軽い凝り感ぐらいに改善しました。

 

  • 治療方針と考察

Hさんの痛みは、明らかに頚部から出た神経が刺激されて出ているものでした。首を傾けたり反らしたりすると神経の出口が狭くなり神経を刺激しやすいのですが、こう言った姿勢で症状が強くなりました。治療は、鍼施術により神経根周囲の血流改善から消炎されることを目的に頚部への低周波鍼通電を、また肩背部・上腕の筋緊張緩和を目的に置鍼を行いました。

神経の炎症による痛みは施術後すぐには改善しませんが、施術を継続することで症状が改善していきます。


施術にあたり、現在の痛みがどうして起こっているのか、鍼をするとどのような効果が得られるのか、痛みがなくなるまでの経過を説明いたしました。その点をHさんも理解いただき、根気よく施術できたため症状の改善に至ったのではないかと考えます。


膝関節半月板損傷の症例

 

膝関節の半月板損傷による関節痛が、鍼灸施術と筋膜リリースで症状がなくなったIさんの事例を報告します。

 

 

  • 事例

Iさん:46歳 女性 会社員

主訴:右側膝関節内側の痛み

 20代の頃よりテニスをしているが、3ヶ月前にプレー中にボールを打った際に右膝内側に痛みを感じた。その直後、歩くと痛みがあり、少し曲げると痛い。

整形外科を受診しMRI撮影にて半月板損傷を指摘された。痛み止めと湿布薬が処方され、週1回の頻度で通院してヒアルロン酸の注射を受けていた。最初の頃より痛みは減ったが、歩行時痛はあり、深く曲げると痛みがある。また動き過ぎると関節が腫れて来る。最近は膝の後ろ側にも痛みを感ずる。

膝関節は少し熱感があり炎症がまだ残っていることがうかがえる。関節可動域は深く曲げた時と完全伸展時に少し痛みとやや制限がある。

 

  • 施術と結果

膝関節の消炎と筋緊張緩和を目的とした鍼灸施術 

大腿部・下腿部に筋膜リリース(ファシアスリックテクニック)

また、暫くテニスや運動をお休みしていただくことをお願いした。

膝関節のエクササイズを指導し自宅でも積極的に関節可動域獲得のための運動をお願いした。

 

初回の施術では症状にはあまり変化は見られませんでしたが、数回施術したころから歩行時痛はやわらぎ、8回目の施術時にはある程度曲げても痛みを感じなくなりました。日常生活では殆ど問題ないレベルまで回復しました。

 

  • 治療方針と考察

Iさんの膝関節痛は、発症直後は半月板損傷が原因していたのですが、その後は痛みを庇うようにあまり動かさなかったこともあり、関節周囲の筋・筋膜が硬くなり関節の動きが悪くなっていました。

膝関節の周囲には筋・筋膜・靭帯など軟部組織が関節を支えています。その部分が硬くなることで関節の可動域に影響が及んだり、痛みの原因になっています。

膝を深く曲げたり、伸ばしたりしても内側には痛みはあまりなく、半月板の影響はないようでした。

 

鍼灸施術により膝関節周囲の筋緊張が緩み、痛みと動きが良くなったと推察します。

また消炎効果を求めて施術したことで徐々に炎症も和らいできたようです。

膝関節周囲の筋・筋膜にに筋膜リリースを行い、筋膜の動きをよくしたことで膝関節の動きが良くなりました。深く曲げてもツッパリ感がなくなりました。



 

年齢を考えると膝関節の軟骨・筋等の老化も考えられ、今後もあまり無理をすると同じ症状が出て来る可能性があります。

それを予防するためにも症状がなくなった後に定期的に施術されると、自宅でのエクササイズをお勧めしました。

雪かきでの右肩関節痛

今回は雪かきが原因と思われる右肩関節痛が、鍼灸施術と筋膜リリースで症状がなくなったHさんの事例を報告します。

 

 

  • 事例

Hさん:58歳 男性 工員

主訴:右側肩関節痛・右側肩甲間部の痛み

 以前より慢性的に右側肩甲間部の凝り感があり、日によって強くなったり弱くなったりしている。時には寝ていて痛むこともある。先日の大雪でまら2日間雪かきをした。途中から右肩関節に違和感を感じていたが、3日目は腕を挙げると痛みがあり、十分挙げることが出来なくなっていた。腕を動かさなくてもズーンとした鈍痛があり、動かせば右肩関節に痛みがある。また夜間痛もある。

 

  • 施術と結果

頚肩部・背部・肩関節周囲への鍼術 7回

肩関節周囲の圧痛の強い場所に施灸 7回

肩甲間部・肩甲部に筋膜リリース(ファシアスリックテクニック) 7回

 

1回目の施術後、背部肩甲間部の鈍痛・凝り感が和らいだ。

4回目来院時には肩関節を動かしても痛みが弱くなっていた。

6回目来院時には肩甲間部の違和感もなくなり、肩関節は腕を挙げても違和感を感ずる程度まで回復していた。

8回目来院時には肩関節・肩甲間部ともに違和感もなくなっていた。

 

  • 治療方針と考察

Hさんの肩関節痛は、少し可動制限があるものの、ある程度自力で腕を挙げられるほどでした。急激な肩関節の使用で、筋・筋膜等に炎症が起こったものと判断しました。

肩甲間部の凝り感・鈍痛は、長年の力仕事の疲労が蓄積し肩甲骨の動きが悪くなっていたのが原因ではないかと判断しました。

肩関節の動く角度の三分の一は肩甲骨の動きです。

肩甲骨の動きが悪くなれば肩関節そのものに負担がかかるようになって来ます。

スポーツ競技でも肩甲骨の動きを強調しているのはそう言いうことです、肩甲骨が動くようになると故障も起きにくくパフォーマンスも上がってくるわけです。

 

鍼灸施術により肩関節部・肩甲間部の筋緊張が緩み、痛みと動きが良くなったと推察します。

肩甲骨周囲に筋膜リリースを行い、筋膜の動きをよくしたことで肩関節の動きが良くなりました。

肩関節周辺と肩甲間部両方の動きが良くなって痛みが和らいだと推察します。


 

年齢を考えると肩関節の軟骨・筋等の老化も考えられ、今後も無理をすると痛みが出て来る可能性があります。

それを予防するためにも症状がなくなった後に定期的に施術されると良いことを説明させていただきました。

片側性の筋緊張型頭痛と思われる症例

今回は慢性的な肩凝りが原因と考えられる筋緊張型頭痛 が、施術で8から1に変化したYさんの事例を報告します。

 

 

  • 事例

Yさん:42歳 女性 事務職

主訴:右側の後頭部から頭頂部の頭痛・右側頚肩凝り

 以前より慢性的に右側頚肩部の凝り感があり、日によって強くなったり弱くなったりしている。頭痛も月に1〜2回あり、いつも右側後頭部から頭頂部にかけてズーンと重い頭痛が起こる。

 

  • 施術と結果

頚肩部・背部への置鍼術 2回

2回の鍼施術の結果、痛みがから8〜1へと下がりました。

1回目の施術後、頭痛なくなり違和感が残っていた。2回目来院時には頚肩の凝り感が少し残っている感じでした。

 

  • 治療方針と考察

Yさんの頭痛は、ズーンと重い感じであり、血管の拍動のような痛みではないこと、月に1〜2回と定期的に起こっていることから筋緊張性頭痛と判断しました。筋緊張性頭痛には鍼施術はとても効果的であり、そのようにYさんにも施術効果を説明いたしました。

 

鍼施術により頚肩背部の筋緊張が緩み、後頭部から出ている後頭神経の絞扼もなくなったことにより頭痛が解消されたと考察します。


かなり長く慢性的に頚肩部の凝り感があることから、日頃から正しい姿勢を心掛けることや、定期的に鍼施術を行うことで頭痛を回避できることを説明させていただきました。

 

 

シモヤケの治療

 12月に入りかなり気温が下がってきました。それとともに痛みや他の症状を持つ方の状態が悪くなってくる場合もありますので、身体の冷えには注意が必要です。


 ところで、当院に定期的に施術に来られている方で、3年ほど前から手足のシモヤケに悩まされている方がいます。昨年はそれほど寒い冬ではなかったのですが、シーズンインとともに酷いシモヤケになっていました。そのため皮膚科・内科から内服薬・塗り薬を貰っていましたが、多少軽くなる程度で春まで自然に治るのを我慢していました。もともとかなりの冷え性で子供の頃にもよくシモヤケに悩まされたそうです。今年はこの予防もあって10月半ばからお灸で治療を始めました。最初に灸点をおろし、施術しない日には家でお灸をして貰うようにしました。鍼も末梢神経の働きを意識して行いました。

 お灸開始から約2週間、10下旬に一度寒気により冷え込みました。手はなんら問題なかったのですが、足の指が赤紫色になり痒みが出て来ました。本人は手にシモヤケが出てこないだけでもかなり喜んでいましたが、こちらは責任を感じてました。足の灸点を訂正して、また家で続けて貰うことにしました。

 その後、1週間毎に確認していますが、足の具合もほとんど良くなっています。今は足拇指が爪から先にかけて赤みがあります。それで先日、来院された時には爪の上にも半米粒大の艾を乗せて3壮(3回と言う意味)しました。ところがここはお灸をすると飛び上がるほどあつい場所なのに熱くないらしいです。知らん顔をしています。非常に血流が悪くなっている様子です。今後、これを家で続けて貰いどのように変化してくるのか楽しみです。

 ところで、お灸に使ったツボですが、手は曲池穴・手三里穴・四穴、足は足三里穴・三陰交穴・行間穴を取りました。ただ教科書に書いてあるような、ここから○寸、○cmと言う通り一遍の取り方ではなく、押圧してズーンと響き指先にも違和感のある場所です。たぶんこれで今冬はシモヤケで悩むことはないだろうと思います。

1回の施術で劇的に改善した膝関節痛

今回は、1回の施術で劇的改善した膝関節痛のSさんの事例を報告します。

 

 

  • 事例

Sさん:71歳 男性 退職中

主訴:右膝関節の痛み(特に内側)

 以前より右側膝関節内側に痛みを感じていたが一ヶ月前から急に痛みが強くなり、歩行時に痛む。また膝を深く曲げると痛みがある。特に階段を降りる際には強く痛む。ここ数年パークゴルフを一生懸命やっているので、それが原因かなあとも思う。I病院整形外科を受診しレントゲン撮影を行ったが異常はなく、注射をした。主治医からは痛かったらまた来てくださいと言われたが、痛みに変化がなく、効果がないのに注射を打つのには

  • 施術と結果

右側膝関節内側の圧痛部と関節周囲の筋緊張が強い部に置鍼術と圧痛部にゴマ粒大の施灸 1回

1回の鍼施術の結果、痛みが8から1へと下がりました。

歩行時の痛みが施術後から消えました。

 

  • 治療方針と考察

Sさんの待合室からベッドまで歩く様子を見ていたが明らかに足を引きずる感じである。ベッド上に寝ていただき膝関節を見ると熱感も腫脹もない。やや内側のハムストリングか内側側副靭帯と思われる箇所に腫れっぽい感じがあり、指で軽く触って膝関節周囲で圧痛を探していると、ちょうど先ほどの腫れっぽい箇所と一致して強い圧痛がある。深く屈曲した時と、膝関節90度屈曲にて外旋させると強い痛みを感ずる。半月板損傷でみられるマクマレーテストでは痛みの誘発はなかった。

 以上のことから関節そのものには炎症はなく、圧痛部位や痛みを感じる膝の動き等から考えると内側側副靭帯の軽度の炎症と考えられます。

 

治療の効果については、圧痛のある部位に置鍼術と施灸を加えることで即効的に筋・筋膜の緊張が緩んだと考察しました。

 

Sさんには痛みの原因をできるだけ詳しく説明しました。また、施術から治癒までの期間も提示しました。Sさんは整形外科では異常がないと言われたのに痛みがあることへの不安と、異常がないのに注射を繰り返すことへの疑問がありました。

 

整形外科等を受診しても異常がないですよと言われても、実際に痛みがあるのになぁと言うことは、よくあります。そういった点には患者さんも不安と不満を感じています。
当院では痛みの部位をよく観察しその原因を探し求めています。そしてできる限り理解できる範囲で説明しています。
そのようなことは実は痛みを取る点ではとても大事なポイントになります。
自分の身体に起こっていることを理解することで不安がなくなります。
不安により痛みや症状はブーストされますから、不安が無くなる→痛みが和らぐ となっていくのです。

転倒後に起こった腰痛

今回は転倒により腰を捻じって筋肉・筋膜を傷めたのが原因と考えられる腰の痛み施術で10から3に変化したMさんの事例を報告します。

 

 

  • 事例

Mさん:52歳 男性 事務職

主訴:両側の腰の痛み(特に外側)

 約10日前に梯子から転倒し、その際に尻餅をついて臀部を打った。その直後から腰に痛みが出てきて、曲げ伸ばしをすると痛むようになった。特に胡坐をかくと痛くてできない。

 

  • 施術と結果

低周波鍼通電 3回

3回の鍼施術の結果、痛みが10から3へと下がりました。

運転中に違和感・鈍痛を感ずる程度まで改善しています。

 

  • 治療方針と考察

Mさんから受傷状況を聞きましたが、腰は打ってはいないこと(打った臀部は今は痛くない)、身体を少し前屈すると腰が痛いこと、腰椎を強く巧打しても痛くないこと(巧打した際に痛みがあると腰椎を骨折したり傷めていることがある)、痛みの部位が外側にあり腰椎からの痛みではないことから、転倒の際に腰を捻じって筋肉・筋膜を傷めたと考えられます。

 

 

治療の効果については、炎症部分に分布する神経を通電によって刺激して周囲の組織の血流を改善させて炎症反応を促進させることで得られたと考察します。

 

 

また、腰の痛みの原因についてYさんにしっかりと説明して納得頂けたことも良かったと思います。痛みは不安によって大きくなることが知られていますが、

 

 

不安が大きくなると、私たちにもともと備わっている下行性抑制系という痛みを小さくする働きが作動しなくなり、痛みを感じやすくなるとされています。

 

 

腰の痛みに対する施術によって患部の血流が良くなり痛みが小さくなった上にご自分の痛みについて納得され、下行性抑制系が正常化したことが治療効果を生み出したと考えられます。

運動の効能

規則的な運動の習慣は、心地よさをもたらしてくれたり心疾患の予防に役立ってくれたりしますが、それ以外にも潜在的な効果があるということについて今日いろいろと知られるようになりました。

適度の運動習慣が健康に特別な効果があることは、誰もが知ってのとおりです。

心臓血管系の疾患を予防するとか、老化を遅らせるとか、カロリーの消費による体重コントロールといった効果を持ちます。

しかし、そのほかにも微妙な効果がることが証明されています。

このため、運動は行動医学の重要な要素となっています。
その理由は、運動が精神面にも良い効果があるからです。

毎週の定期的な運動は、精神状態にも影響を及ぼします。

その一つは緊張の軽減です。

スポーツ医学の専門家ハーバード・デヴリースは短時間の(5分から30分の)軽い運動でも筋肉の緊張が低下すると証明しています。

また、ジョギングやサイクリングや、最高心拍数の30〜60パーセントで歩くだけでも、軽い不安軽減作用や抗抑うつ作用があります。

とくに、後者の発見は、とても重要な意味があります。

と言うのも、抑うつ状態は免疫機能の低下と深く結びついているからです。

それゆえに、運動には抗抑うつ作用ばかりでなく、免疫機能を高める作用もあり、抑うつ状態に陥りやすい人にとっては一種の保険になってくれるかもしれません。

また、運動が体内の特定の化学物質の産生を促進すると言う証拠もあります。

とりわけ有名なものに、モルヒネ様物質であるエンドルフィンがあります。

よく耳にするランナーズハイという現象です。ある一定量運動することで脳からエンドルフィンなどが排出され幸福感が生まれたり、痛みを抑えてくれたりします。

これによって一度作りだされたエンドルフィンは、運動終了後にも体内にしばらくどとまり、幸福な気分になるわけです。

また、運動後にはカンナビノイドと言うマリファナによく似た物質が脳から出て痛みや苦しみを抑えてくれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モルヒネやマリファナと、犯罪が匂う名前が出てますが、体内で作られるエンドルフィン・カンナビノイドでは薬物中毒にはなりません。

安心して運動をしてください! 

 

 

 

 

 



一回の施術で改善した肩の痛み

先日、肩の痛みで来院された患者さんですが、施術したあとで痛みが9割方消えたとビックリして喜んでいました。

このところ2年間その痛みで悩まれていたそうです。

本人曰く、五十肩やと言っておりましたが、どうでしょう?

 

世間で言われている五十肩と言う表現は幅が広いです。

だいたい40歳以上になって肩(肩関節)が痛くて腕が上がりにくいと言うと五十肩と言っているようです。

肩の関節も長年使ってくると上腕を吊り下げている肩回りの筋肉に硬結が出来てきます。それからその下にある関節を覆う関節包が硬くまたは短縮することが起こってきます。

そうなると肩関節の動きが悪くなってきて痛みの原因となります。

まだこの程度では五十肩までは行っておりません。

五十肩では背中に手を回す、髪を結ぶ動作が困難になります。

なかには夜間、肩の痛みで目が覚めると言う人もいらっしゃいます。

このような状態になってくると2ケ月から3ヶ月はかかります。

 

今回の患者さんは、そのような五十肩という状態までは行っておりませんでした。

関節の可動範囲には制限もありましたが、一回の施術でかなり改善しました。

筋・筋膜の緊張が原因でしょう。

両側臀部から大腿部への痛み(腰椎脊柱管狭窄症?)

主訴:両側の臀部から大腿部への痛み、眠られない


先日、拝見した女性の患者さんですが、2月ごろから徐々に痛みが出てきました。

3月に整形外科を受診しレントゲン撮影にて腰椎脊柱管狭窄症棘診断されました。

リリカ(ここ最近出てきた神経修復を目的とした鎮痛剤)が処方されましたが、目眩(めまい)が出てきて服薬が難しくなっていました。

服用中止後もしばらく目眩は続き脳神経外科にて脳のMRI撮影を行いましたが異常はありませんでした。

その後は別の鎮痛剤でを服用し、同時に整体にも通っていましたが痛みに変化はなかったようです。

生活状況は、ここ3年ほどは夫の介護に時間がとられ、また家庭内での家族の洗濯、ご飯用意をしなければならなく、心身ともに負担がかかっていたようです。


腰椎脊柱管狭窄狭窄症の特徴は、歩くと徐々に下肢の痛み・痺れが強くなっていき歩くのが困難になることです。

この病気では背骨内の神経の通り道が加齢により狭くなり、歩行で下肢へ向かう神経への圧迫刺激が強くなって来るわけです(歩行時は腰椎が捻れることで骨盤が前後に動き歩くことが可能になっています)。

ところがこの患者さんでは歩行によって痛み・痺れが強くなることはありません。

またレントゲン撮影だけで終了しております(レントゲン撮影では神経の通り道は分かりません。あくまで年齢と下肢の痛みという事での推察診断でしょう)。

ではこの痛みの原因はということですが、腰部から痛みの放散でしょう。

また、眠られないことからも伺えるように精神的にもかなりまいっており、脳の過緊張により痛みを感じ易くなっていると考えます。


慢性痛は、その殆どがこのような脳が過緊張していることによって、レベル13の強さの痛みがレベル57あるいは8へと増幅されて感じていると思われます。

もともとのご本人の性格や、過去の経験からのトラウマによって起こっているのかもしれません。

仕事や家庭内でのストレスばかりではありません。過去に経験した強い痛みに戻ってしまうのではないかと言う不安、下肢の痛みや腰痛で歩けなくなるのではないかと言う不安、いつまでこの痛みと付き合わなければならないのかと言う不安、そのような気持ちが痛みの部位に強く意識を集中してしまっているわけです。

結局、痛みを感じているのは脳なのです。


当院では患者さんと痛みの原因を探りながら、鍼灸・ファシアスリックテクニック(筋膜リリース)によって痛みを取り除いて行きます。

長く痛みに悩まされている方はどうぞご相談ください。



肩から肩甲骨あたりの痛みは首に原因がありそう!

 昨日、肩から肩甲骨まわりが痛いと来院された女性のB45歳)さん。

数日前からキッカケなく痛みが出だしたそうです。

じっと座っていたり、仕事をしていても痛みがあるようです。


診察で首や肩を動かして貰うと、首を左に傾けた(側屈)時に上記箇所に痛みがでました。

左側に向けて首を捻った時にも同じように痛みが出ました。

腕や指には痺れ・痛みはありませんでした。


多分、首から出て来て肩・肩甲骨あたりの知覚を支配している肩甲背神経が過敏になって痛みを出しているのではないかと推察しました。

首の神経の出てくるあたりや椎骨の繋ぎ目の椎間関節と思われる箇所に明らかな圧痛もありました。


Kさんにもそのように説明いたしました。原因として、長年前屈みでの作業に従事しており、首から肩にかけての疲労の蓄積、また加齢による椎間板・椎間関節磨耗等により神経の出口の狭まりから神経への刺激が加わり痛みが出ることの可能性もお話しました。


発症から日にちがあまり経っていないこと、上肢症状がないこと、楽な姿勢があること、日頃肩凝りを感じていないことから、治療は数日から10日ほどかかると思います。


このような首から肩、さらには腕への痛み・痺れを訴える方はそう珍しいことではなく、中高年に多くいらっしゃいます。

副産物

先日、首肩の痛みで来院されている方から、このような話がありました。

患者さん「ここで頚肩の痛みの治療を受けるようになってから、耳鳴り・目眩(めまい)がなくなったんです。

数年前からこの時期になると目眩がして一週間仕事を休むこともあったんです。

耳鼻科・内科を受診しても酔い止めの薬が処方されるか、一時的な点滴されるだけで、あまり効果

がなく、休養して回復を待つしかなかったんです。」

 

私「鍼灸治療ではそういうことは良くあることで、ある意味副作用ですよね。

副作用というと薬などでは悪いイメージがありますが、必ずそういうものでもありません。

鍼灸治療の場合、別の症状のために治療を行っていると、例えば全身の血流が良くなって冷え性

なくなったとか、花粉症が出なくなったとか、眼の調子が良くなって物がハッキリと見えるように

なったとか、そういう良い意味での副作用というか副産物はあります。」

こういう話は鍼灸あるある なんですね。

ただ、どのような症状が改善されるかは個人個人によって変わりますから予想はできません。

みなさんも、鍼灸治療で健康な身体を作って行きませんか。

逆児の妊婦への治療

先日、逆児の妊婦さんで正常に戻るのに手間取ったケースがあったので紹介します。

[症例]34歳、女、特に異常なし。

妊娠30週の初産婦。

29週で骨盤位を指摘された。一旦、戻ったようだがすぐにまた骨盤位へと戻った。

足の三陰交穴に施灸7壮と30mm1号鍼にて刺鍼。

自宅で足の三陰交穴へのお灸を指導。

施術直後から胎動が増えだした。

数日後、婦人科でのエコー検査があったが胎児の位置には変化はなかった。

もう1週同じように自宅でのお灸を行う。

翌週の婦人科の検査でも変化はなかった。

足の三陰交穴に足の至陰穴をプラスする。

朝と晩の2回行うように指導。

翌週の婦人科のエコー検査で胎児は正常な位置(頭位)へと改善した。

 

今回、三陰交穴だけでは戻らず、至陰交穴を途中からプラスした。

また、「鍼灸臨床生情報」には座位で施灸したほうが戻り易いと報告されているので座位を取り入れた。

お灸は物理刺激であるのだが、リズミカルに行うことが重要と考え、途中から右、左、右、左と交互に行った。

 

(2020.5.10)

「ひょうそ」のお灸

指先が化膿し、非常に痛くなって困ることになる。
外科では切開し、抗生剤の軟膏と飲み薬で対応することになる。場合によっては爪を一部切除することになる。
ところがこの「ひょうそ」はお灸で簡単に治る。赤く腫れ来ている直近の爪の上にゴマ粒大のお灸を数回おこなうことを数日繰り返すと段々赤みが消えてきて治ってしまう。化膿が強くぶよぶよしている時には赤くなっている部位を爪側に押して一旦膿を出してしまうとなお回復が早い。
深谷先生の本では爪を横に三等分線をひいて、さらに縦に真ん中に線をひきその一番右手の横線と縦線の交点に灸点を取っている。それとプラスして患側の合谷穴にも施灸している。

しかし、私が過去何度かトライした印象では、上で書いたように線分をひかずに赤く腫れている直近の爪上に点をとってほうが早く治った。これは私だけでなく、家内にも、子供たち2人にも行った結果なので有効率は高いと思う(子供は汚い足の爪付近に何度かなっていた)。一度試してみると良いだろ。

 

爪ひょうそ_R1.jpg

無理がたたった脚の電撃痛

1月半ばに両側のお尻から下腿に電撃痛が走ると言って来院された女性の方があった。

この女性は年始に重い物を持ってから上のような症状が出てきたそうだ。

腰を伸ばすと痛みが臀部から下腿に走り、常に腰を屈めたような姿勢で歩いている、おばあちゃんのようである。

寝返りも痛むようだ。

整形外科にも受診されたが、レントゲン撮影して「異常ありませんね、じゃこのクスリ飲んでおいてください」と痛み止めが出されて終わった(異状ないから鎮痛剤というのも変だが)。

薬を飲んで様子を見ていたが痛みは変わらず、この激痛に耐えられなくなって友人の勧めで鍼を受けてみようと思って来院されたようだ。

だいたいこのような坐骨神経痛様の痛みは片側だけというのが普通であるが、たまには両側に出る場合もある。

多分、片側の痛みを庇っていて反対側の腰臀部にも筋緊張が出来上がったのではないだろうか?

ケンプ兆候は左側陽性なので、左側の腰部脊髄神経の出口が狭くなっているか、神経の腫れがあるのかもしれない。

しかしこれまでの痛みの出るようになった前後の経過を聞いていると、暫く鍼施術をすれば症状が治まってくるのは推測される。

この患者さんにもそのように伝え施術を開始したが、最初の数日はあまり変化がないようだったが、1週間を過ぎたあたりから目に見えるように痛みが改善してきた。

現在も治療中だが、約9割5分ぐらいまで回復してきている。

患者さんも嘘のような感じで半信半疑のようである。

あと少し治療を継続すれば痛みから解放されることであろう。

眩暈(めまい)の考察

約1ヶ月前、いつも定期的に治療に来ている患者さんが目まいを訴えていいました。

発症したのが休日で、とりあえず近所の内科で診てもらい点滴で対応していただいたのですが、病名は良性発作性頭位めまい症だろうとのことでした。

この良性発作性頭位めまい症は眩暈(目まい)外来受診の6〜7割を占めていると言われています。

原因は耳の三半規管近くにある耳石(カルシウムの塊)が動くことによって内耳のリンパの流れ悪くなり起こると言われています。

その内科の先生も耳石が出来上がり動くことが原因だろうと説明されていたようです。

その患者さんですが、来院されたときはまだ目まいがあるようでした。寝ている時はそうでもないが、起きて頭を動かすとフワッとしてそのうち目が舞うようでした。

良性発作性頭位めまい症には鍼灸は効果的で、局所的には内耳周囲のリンパの流れを良くし、また全体的には自律神経の働きを良くすることで目まいが起こらなくなってきます。

この患者さんの場合は、治療後翌日から症状が出なくなりました。3日ほど「フワッと」することもありましたが、その後は症状は出ていないようです。

現在、耳石が目まいの原因とされていますが、そうなのだろうかと疑問に思います。

なぜなら一度出来上がった耳石はずっと存在するわけで、治療により症状が治まってくると言うのは不思議です。

この良性発作性頭位めまい症、精神的なストレスも原因の一つとされています。

ストレスがかかると筋緊張により内耳のリンパの流れが悪くなります。

その結果、耳石の動きに過敏に反応するようになるのだろうと考えます。

寒い冬だからと家に籠っているばかりでなく、外を散歩したりして環境を変えてみることは必要です。

筋緊張型頭痛の鍼治療

先日、特に思い当たることもなく頭痛がする方が治療に来られた。

両側のコメカミ部が締め付けるように痛いそうだ。

仕事はデスクワークである。ほぼ一日パソコンの画面を眺めているようである。

このような頭痛は、原因は頚肩部の筋緊張が原因と推察される。

毎日、パソコンの画面を眺めて目を酷使し、姿勢は前屈みになっている(背中を丸めて首を前に突き出している)。

このような状態を日々続けていると首肩の筋肉が強ばってくる。

首の後ろ、後頭部との境あたりからは後頭神経が出て頭の表面を覆っているのだが、その神経が刺激されてコメカミや頭全体が締め付けるような痛みを起こすわけだ。

また、ここ10年余りスマートフォンが普及してから更に首肩と眼に負担がかかっているわけだから、このような症状を訴える方は増えこそすれ減ることはないと思われる。

治療の方は、背中から肩・首の筋緊張を和らげる鍼をすると翌日から症状は消えてしまった。

初発だから回復も早かったのだろうと思う。

しかし、パソコン・スマートフォンなしでの生活は送れないだろうから、症状が続くようであれば定期的な治療が必要になるだろう。

糖尿病と五十肩(肩関節周囲炎)

糖尿病と五十肩と言うと、なんら関係がありそうに思えませんが、実は糖尿病の約20パーセントの人に五十肩が起こると言う報告があります。

まだ日本では糖尿病の合併症に入れてないようですが、糖尿病も五十肩のリスクの一つです。ADA(アメリカ糖尿病協会)の報告では、糖尿病のある人の20%が五十肩になるのに対し、糖尿病のない人は5%となっています。

五十肩は肩の使い過ぎであったり、身体の疲労、老化による筋の柔軟性の低下など、いろいろな原因が重なっています。

なぜ糖尿病の人に五十肩が多いのか諸説ありますが、長く血糖が高い状態が続くと、肩関節を覆う滑膜と言う組織が硬くなって来て、肩が動かなくなってくるようです。

また糖尿病がある人では五十肩が治るまでの期間も長くかかることが報告されています。

私の治療の経験でも、糖尿病に長く患っている人の五十肩は治癒まで時間が長くかかっています。

痛いからと言って肩関節を動かさないのではなく、早くから運動療法を行いながら治療に勤めることが必要です。

電子カルテの導入

7月の終わりから電子カルテ「みんなのカルテ」を導入いたしました。

メリットは、

  • 患様の医療機関受診履歴や既往症、アレルギーの有無、血液型、処方された薬などのデータを一目で確認できる
  • 医療情報に素早くアクセスできる
  • カルテ保管のためのスペースを省く
などなど。 鍼灸院レベルで電子カルテを導入しているところは、まだまだ稀ですが、患者様の健康を管理を行う施設としては今後は必須と考えています。 (2019.8.24)
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