現代の不妊治療において、鍼灸（しんきゅう）治療が注目を集めていることをご存知でしょうか。

西洋医学的な治療と並行して鍼灸を取り入れることで、妊娠しやすい「体づくり」をサポートする効果が期待されています。

「なぜ鍼が妊娠に？」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、東洋医学に基づく鍼灸は、体の根本的なバランスを整えることに優れているのです。

1. 鍼灸が不妊にアプローチする3つのメカニズム

鍼灸治療が不妊に効果をもたらす主なメカニズムは、以下の3点に集約されます。

① 血流改善による子宮・卵巣機能の向上

鍼を特定のツボに施すことで、硬くなっている筋肉が緩み、全身、特に骨盤内（子宮や卵巣）への血流が劇的に改善されます。

• 子宮: 血液を通じて栄養がしっかりと届くことで、子宮内膜が厚く、ふかふかに育ちやすくなります。

• 卵巣: 卵巣に十分な酸素と栄養が行き渡り、質の良い卵子の成長が期待できます。

② ホルモンバランスの調整

不妊の原因の一つに、ストレスや自律神経の乱れによるホルモンバランスの崩れがあります。

鍼灸は、自律神経の要である視床下部や脳下垂体にアプローチすることで、女性ホルモンの分泌を整えるよう働きかけます。これにより、月経周期の安定や排卵の質の向上に繋がります。

③ ストレス・不安の軽減

不妊治療は、先が見えない不安や精神的なプレッシャーが伴います。鍼灸治療によるリラックス効果は、このストレスを大きく軽減します。

 

自律神経が整うことで、心身ともにリラックスでき、治療を穏やかな気持ちで継続できる土台を作ります。

2. こんな治療と相性が良い！鍼灸の活用法

鍼灸は、西洋医学の不妊治療と併用することで、その相乗効果が期待できます。

• 体外受精（IVF）/顕微授精（ICSI）との併用:

• 採卵前: 質の良い卵子を育むために、血流改善やホルモン調整を行います。

• 移植前後: 移植直前と直後に鍼を行うことで、子宮内膜の状態を整え、着床率の向上を目指します。

• タイミング法・人工授精との併用:

• 月経周期に合わせて、排卵を促すツボや子宮内膜を厚くするツボを刺激し、自然妊娠の可能性を高めます。

3. 鍼灸治療を始める前に知っておきたいこと

• 専門家の選択: 不妊治療を専門とする知識と技術を持った鍼灸師を選ぶことが非常に重要です。事前に実績や経験を確認しましょう。

• 継続が大切: 鍼灸は体質改善を目指す治療です。すぐに効果が出るものではなく、最低でも3ヶ月〜半年は継続して、体の変化を見守ることが大切です。

 

• 医師との連携: 不妊治療の担当医に、鍼灸を併用していることを伝えておくと、治療計画をよりスムーズに進められます。

まとめ

鍼灸は、不妊治療の「脇役」ではなく、妊娠というゴールに向かうための「強力なサポーター」になり得ます。

 

もし、今の治療法に行き詰まりを感じていたり、体質を根本から改善したいと考えていたりするなら、一度、鍼灸治療という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。心と体を整え、穏やかな気持ちで赤ちゃんを迎えられる準備を始めましょう。