線維筋痛症は、体のあらゆる部位に起こる激しい慢性の疼痛(痛み)と「こわばり」ですが、その他に激しい疲労感や倦怠感、頭痛・頭が重い、落ち込んだ(抑うつ)気分、不安感や不眠などいろいろな自覚症状を伴います。
診察では、体のある部位を親指で押さえると、痛みが発生しますが、各種検査も含め明らかな異常のない原因不明の比較的発病頻度の高い、そして難治性であると言われています。日本では人口の約1・7%にみられ、おおよそ200万人の患者がいるとされており、男女比1対5〜8、年齢30〜50代と中年女性 に多いのが特徴です。
西洋医学では、痛み止めのノイトロピンを基礎薬として、随伴症状によって抗うつ薬と新型抗てんかん薬(抗けいれん薬)が処方されます。
しかし、西洋医学の治療だけではなかなか症状が改善しない例も多いのが現状です。
繊維筋痛症は、特にこれと言った臨床検査が有るわけではなく、身体の特定の部位に圧痛(決められた力で押すことによって痛みが出ること)があること以外診断方法がありません。
しかし、この圧痛部位には症状の全くない方でも圧痛が出やすく、決め手にはなりません。これまでの痛みの経過を詳しく辿り、痛みの性質や、それ以外の症状を総合して判断しなくてはなりません。そのため、未だに整形外科や内科においても、この病気が見つけられることは珍しいわけです。原因不明の痛みのなかには、この繊維筋痛症が多く含まれていると思います。
アメリカリウマチ学会での診断基準はこのようになっています。
http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm120/kouza/senikintsu-1.html
おおよそ2〜3ヶ月続く痛みや、怪我が回復したあとに1ヶ月以上続く痛みを慢性疼痛と言います。
痛みが慢性化すると痛みを感ずる神経系が過敏な状態となり、本来ならゼロか、あるいは気にするほどでもないレベルになっている痛みのサインが、強く感ずるようになります。長く続く痛みは更に精神的に悩むことになり、それが脳の痛みの中枢を興奮化させ、痛みを長期化させます。
さらには、痛み以外の精神的な悩み(生活問題や人間関係など)が、痛みを強くする原因にもなっています。
線維筋痛症は、そのような慢性化した痛みの顕著な例です。痛みをそのまま放置しておくと、誰でも発症する可能性があるわけです。
西洋医学では思うように治療効果が得られない線維筋痛症ですが、実は鍼灸は得意とする分野なのです。
線維筋痛症は身体の酷使や精神的ストレスが原因です。最初はある一部分の痛みであったものが長期にわたり症状が続くと、脳で痛みをコントロール出来なくなってきます。実際には痛みが無くなっているのに痛みのサインが出し続けたり、小さな痛みのサインが増幅されてしまいます。鍼灸は全身の緊張をほぐして脳や自律神経の働きを正常にして、痛みが取れやすい状態を作り出します。
そして、痛みの出ている周囲の筋肉の凝り(これが痛みの大本なのです)に繰り返し鍼をすることで徐々に痛みが出なくなってきます。この症状の出ている周囲の筋肉の凝りを繰り返し治療することが一番重要なのです。
長い間続く痛みは、鍼灸治療中も、あっちが治まればこっちが痛む、こっちが治まれば次はあっち と50歩進んでは20歩下がるのように一進一退です。でも、治療を続けることで確実に痛みに強い身体になっていきます。
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